13ftで2.3MWh:東電系のNExT-e Solutionsが「小さく運べる」系統用蓄電池を初出荷

13ftコンテナ型の系統用蓄電池パッケージ

国内の系統用蓄電池では、敷地と輸送制約に合わせた小型パッケージ化が進んでいます。2026年1月には、東京電力グループ系のNExT-eソリューションズが公称2,315kWhを13ftコンテナに収めた系統用蓄電池パッケージ「Power Cube」を初出荷しました。

目次

3行サマリー

  • NExT-eソリューションズが2026年1月に、13ftコンテナを用いた系統用蓄電池パッケージを初出荷しました。
  • 水冷方式とリン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、公称2,315kWhの蓄電容量を1ユニットに収めています。
  • 重量約23tのコンパクト設計で、港湾や工場敷地など土地制約の大きい場所にも導入しやすいサイズです。

今回の発表の位置づけ

系統用蓄電池は、送配電網につないで電力の需給差を埋める「調整力」を提供するための設備です。再生可能エネルギーが増えるほど発電量の変動が大きくなり、その揺らぎをならす役割が重要になっています。

日本の蓄電所ビジネスでは、卸電力取引所での売買に加えて、需給調整市場や容量市場を組み合わせる運用が一般的になりつつあります。こうした事業は蓄電池の性能だけでなく、長期運用を見据えた信頼性や安全性が前提になります。

一方、日本は土地が細かく分かれており、道路や橋梁の制約も厳しいです。海外仕様の大型コンテナでは搬入や設置が難しいケースも多く、13ftクラスで容量を確保した今回のパッケージは、その「入り口のハードル」を下げる動きとして位置づけられます。

13ft蓄電池パッケージの中身と特徴

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000176308.html

NExT-eソリューションズは、バッテリーマネジメントシステム(Battery Management System、BMS)を中核とした蓄電システムを提供する企業で、東京電力グループと共同で今回の13ftクラス系統用蓄電池パッケージを開発しました。第一号案件は、日本蓄電池が事業主体の広島県庄原市の系統用蓄電所向け納入です。

今回の製品は、公称容量2,315kWh/定格容量2,083kWh、運転電圧範囲1,113.6〜1,344.0Vという仕様を持つ水冷式の蓄電パッケージです。13ftクラスのコンテナに収めることで高いエネルギー密度を実現しつつ、設置や輸送のハードルも抑えています。

電池にはリン酸鉄リチウムイオン(Lithium Iron Phosphate、LFP)を採用し、熱安定性と長寿命を重視した構成としています。重量は約23tで、公称容量あたりの重量を抑えながら、安全性とメンテナンス性を両立させる設計になっています。

想定用途は、系統用の調整力提供に加えて、再生可能エネルギーとの連系や、工場・大型需要家の自家消費支援などです。1ユニットごとに容量と仕様が明確なため、複数台を並べて容量を積み上げる構成も取りやすくなります。

導入の文脈と導入スキーム

今回の13ft蓄電池パッケージは、限られた敷地でも導入しやすいことが特徴です。変形地や小さな区画でも収まりがよいサイズ感のため、変電所周辺の空きスペースや工場敷地の一角など、候補地の選択肢を増やす効果があります。

用途面では、系統用としての調整力提供だけでなく、再エネ出力の平準化や工場のピークカット、自家消費の最適化などに活用しやすいです。たとえば、大規模工場や港湾では、系統連系の制約を緩和しながら、停電時のバックアップ電源としても機能させることができます。

事業スキームとしては、標準化された蓄電パッケージを前提に、PPA(Power Purchase Agreement)や容量市場・需給調整市場の収益を織り込んだ「蓄電池付き電力サービス」を構成しやすくなります。EPCや金融機関とのコミュニケーションも、パッケージ仕様を前提にした説明ができるため、案件化のスピードを高めやすいです。

他の選択肢との比較・棲み分けと影響

コンテナ型の系統用蓄電池は、世界的には20ft級以上の大型コンテナに大容量を詰め込むタイプが主流です。これに対して13ftパッケージは、容量の最大化よりも日本特有の輸送ルールや設置スペースの制約を踏まえた「通しやすさ」を重視した選択肢と言えます。

技術面では、LFP+水冷という組み合わせは、安全性とエネルギー密度のバランスをとる構成です。一方で、ナトリウム硫黄電池やレドックスフロー電池など、長時間放電に強みを持つ別種の蓄電技術も系統用市場には存在します。瞬時から数時間の調整力を重視するのか、より長時間の電力シフトを重視するのかによって、技術の棲み分けが見えてきます。

企業にとっては、蓄電所の導入は単なる設備購入ではなく、市場運用や遠隔監視、保守・更新計画まで含めた長期プロジェクトになります。そのため、電気設備の専門人材だけでなく、電力市場やリスク管理に明るい人材が必要になり、人材要件にも変化が出てくる可能性があります。

筆者の視点

今回の発表でまず目を引くのは、公称2,315kWhという容量そのものよりも、「13ft」と「約23t」というサイズ感です。国内では候補地の良し悪しが、変電所からの距離だけでなく、搬入路や設置スペースの条件で決まることが多く、このサイズであれば計画に載せられる案件が増えそうです。

次に注目したいのは、東京電力グループの知見を織り込んだ安全設計と、長期運用を前提にした仕様です。系統用蓄電所はファイナンスとセットになるケースが多いため、長期の前提条件を置きやすいことは、サービス設計や投資判断を進めるうえで大きな安心材料になります。

周辺ビジネスとしては、アグリゲーターによる複数サイトの一括運用や、工場・港湾・データセンター向けの「電力料金最適化+BCP」パッケージとの組み合わせが考えられます。コンテナ型が標準化されていくほど、遠隔監視やO&M、保険・ファイナンスといった周辺サービスの競争も活発になっていきそうです。

企業側としては、どの市場収益(スポット取引、需給調整市場、容量市場など)を主軸に据えるかを早めに決めておくと、案件設計が進めやすくなります。サイト条件と連系条件を整理しつつ、同じパッケージで横展開できるかどうかが、今後の分かれ目になりそうです。

参考リンク集

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この記事を書いた人

・ニックネーム:脱炭素メガネ
・所属:国内大手エネルギー企業
・担当領域:新規事業開発(経験10年以上)
・主なテーマ:次世代再エネ、カーボンリムーバル(DAC/DOC/BECCS/CCUS)、グリーン水素(AEM/PEM等)、LDES、次世代原子力(SMR)、核融合 など
・役割:クライメートテック分野の全社的な戦略策定・実行のリード、スタートアップ出資(スカウティング〜評価〜実行)

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