Waymoメガラウンドと蓄電デットが主役の週:Waymo $16bn、Aypa Power $1.5bn、Bedrock Robotics $270m|クライメートテック資金調達 #023

「Waymoメガラウンドと蓄電デットが主役の週 クライメートテック資金調達 #023」というタイトルのアイキャッチ画像。背景はネオンが輝く夜の近未来都市で、左側には自動運転のロボットタクシーが走り、右側には巨大な蓄電池コンテナが並んでいるフラットイラスト。

今週は、〔スタートアップ資金調達〕に$18,749m、〔M&A / Exit〕に$41m、〔プロジェクト・デット〕に$1,617mが集まりました(合計$20,407m、非開示は集計外)。

目次

3行サマリー

スタートアップ資金調達動向:
Alphabet傘下の自動運転企業WaymoがSeries Dで$16bnを調達し、核融合や高度原子力、クラウド製造、気象データなど幅広い分野で大型ラウンドが続きました。VCファンド組成も含めると、スタートアップ・コーポレート関連で約$18.7bn規模の資金が動いています。

プロジェクト資金調達動向:
米国の蓄電プロジェクト開発Aypa Powerがバッテリー蓄電システム向けデットで$1.5bnを確保し、欧州・豪州でも建物の熱需要削減や太陽光+蓄電プロジェクト向けに中規模のプロジェクトファイナンスが相次ぎました。

政策動向:
EUが永久貯留型カーボンリムーバルの認証基準を含む枠組み案を公表し、米国ではクリーン燃料生産税額控除(セクション45Z)の具体的な適用ルール案が示されるなど、炭素除去と低炭素燃料の両面で実務的な指針が前進しました。

今週の資金調達動向

サマリー(USD概算)

グループ件数開示額合計主な資金種別代表案件
スタートアップ/コーポレート(エクイティ/研究助成等)23$18,749mSeed、Series A〜D、グロース、VCファンド組成Waymoの自動運転向けSeries D $16bn
M&A / Exit6$41m買収、PEファイナンス、事業停止ST Telemedia Global Data CentresのデータセンターPE買収ファイナンス
プロジェクト系(PF/デット/資産売買)4$1,617mプロジェクトデット、開発ローンAypa Powerの蓄電プロジェクト向けデット$1.5bn

— 注:合計は概算・非開示を除く。為替目安:£→$1.33、A$→$0.68、€→$1.10、C$→$0.74、¥→$0.0067(端数は$0.1m未満切り捨て)。通貨併記は一次発表に準拠。

A. スタートアップ / コーポレート

企業/国金額/ステージ概要主な投資家
Waymo/US$16,000m/Series D自動運転ソフトウェアとロボタクシーサービス開発T. Rowe Price, Fidelity, Baillie Gifford
Bedrock Robotics/US$270m/Series B建設現場向け自律ロボットプラットフォームBlackstone, 3L, Northzone
Tomorrow.io/US$175m/Growth衛星と気象データを活用した気象インテリジェンス提供BlackRock, Koch Disruptive Technologies, National Grid Partners
Vention/CA$110m/Series Dクラウドベース製造自動化プラットフォームSoftBank, Inovia, StepStone Group
Lunar Energy/US$232m/Series C+D家庭用蓄電池と分散電源ソフトウェアKhosla Ventures, Earlybird, World Fund
newcleo/UK$85m/Series A鉛冷却高速炉など次世代小型原子炉開発Exor Ventures, Azimut, Intesa Sanpaolo
GrubMarket/US$50m/Growth食品サプライチェーンのオンライン流通とソフトウェアBlackstone, General Atlantic
Avalanche Energy/US$29m/Series A小型核融合マイクロリアクター開発Breakthrough Energy Ventures, DCVC, Lowercarbon Capital
R3 Robotics/FR$17m/Series AEVバッテリー自動解体ロボットシステムBMW i Ventures, Atomico, Emblem, HCVC
Forerunner/US$26m/Series B水道事業者向け洪水・インフラ管理SaaSSpark Capital, Insight Partners, G2 Venture Partners
UBEES/FR$9m/Series A養蜂データと受粉サービスのプラットフォームAXA Venture Partners, AgFunder
Polaron/UK$8m/Seed電池材料の開発を加速するAI材料設計Racine2, Speedinvest, Futurepresent
Recupere Metals/FR$6m/Seed金属回収とリサイクルプロセス技術Emblem, Elaia, Meridia
Powerwave/JP$6m/Series A家庭の電力利用を最適化するAIスケジューリングUTEC, 国内VC複数
Sparxell/UK$5m/Seed植物由来の高発色顔料と素材開発SPARX Group, Rhapsody Venture Partners
pHathom Technologies/US$3m/Seed下水からメタンを回収する技術Wireframe Ventures, Refactor Capital, Cisco Foundation
LOOPARTS/JP非開示/SeedEVバッテリーの再利用と物流プラットフォームUTECほか
Amperon/US非開示/戦略出資電力需要予測と市場分析のエネルギーインテリジェンスD-ISH
Mundi Ventures/ES$885m/Fund close脱炭素インフラ向けKembara Climate Transition Fund機関投資家(LP)多数
Daphni/FR$311m/Fund close気候・インパクト系スタートアップ投資ファンドBlue機関投資家(LP)多数
Voyager Ventures/US$275m/Fund II北米中心のクライメートテックVCファンド年金基金、財団などLP
Slate Venture Capital/US$157m/Fund close産業・エネルギー変革領域に投資するVC機関投資家(LP)多数
The Footprint Firm/DK$90m/Fund I北欧発の気候ソリューション特化VCファンド北欧機関投資家、ファミリーオフィス

Waymo — 特集

Waymoの自動運転ジャガーI-PACEロボタクシーの外観
Waymoの自動運転EVロボタクシー(ジャガーI-PACE)
出典:Waymo
会社の概要

Waymoは、米Alphabetグループの自動運転技術会社で、もともとはGoogleの自動運転プロジェクトとして立ち上がった組織です。現在は自社の自動運転システム「Waymo Driver」を軸に、都市部でのロボタクシーサービスや物流向け自動運転サービスを展開しています。

事業の中心は、スマートフォンアプリから呼べるロボタクシーサービスで、米国ではフェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルスなどで無人走行による有料サービスを提供しています。今回の大型調達により、サービスエリアの拡大や車両台数の増強、技術開発への追加投資が期待されます。

何ができるのか

Waymoの提供価値は、運転を人からソフトウェアに置き換えることで、安全性と利便性を高めつつ、移動コストを長期的に下げられる可能性にあります。利用者は通常の配車アプリのように場所を指定して車両を呼び、無人の車に乗って目的地まで移動できます。

事業者向けには、配車プラットフォームやフリート運営サービスと組み合わせての提供が想定されており、将来的には物流やラストワンマイル配送、企業のシャトル運行などへの展開余地も大きいです。タクシーやライドシェアと同じ「移動サービス」でありながら、ドライバーの採用・教育・シフト管理をソフトウェアに置き換えられる点が大きな特徴です。

技術のしくみ

Waymo Driverは、車載カメラ、レーダー、ライダーなど複数のセンサーからのデータを統合し、周囲の車両や歩行者、信号、道路標識をリアルタイムに認識します。認識した情報をもとに、自車の挙動を数秒先までシミュレーションしながら、加減速や車線変更、右左折などの運転操作を自律的に決めていきます。

こうした判断ロジックは、シミュレーターと実世界の走行データの両方を用いて継続的に学習・チューニングされており、異なる都市の道路構造や交通ルールにも対応できるよう設計されています。また、通信ネットワークを通じてソフトウェアを更新できるため、フリート全体に安全性向上のアップデートを配信しやすい構造になっています。

料金・導入の進め方

利用者の体験としては、料金体系は既存のタクシーやライドシェアと近く、距離や時間に応じた運賃がアプリ上で提示されます。都市への導入にあたっては、自治体や規制当局との協議のもと、一部エリアでのパイロット運行から始め、徐々に運行エリアや時間帯を広げていく進め方が一般的です。

事業者側では、自社でフリートを持つか、Waymoとパートナーシップを組んだモビリティ事業者を活用するかといった選択肢があります。車両の調達や保守、保険、ソフトウェア使用料などを含めた総コストを見ながら、既存のタクシー・バス事業との役割分担を検討する必要があります。

他社との違い
  • 長年の公道走行とシミュレーションで蓄積した膨大な走行データを持ち、都市ごとの細かな交通パターンを反映した運転モデルを構築している点。
  • センサー、地図、運転アルゴリズム、車両インテグレーションまで自社で垂直統合しているため、安全性やサービス品質を一定水準以上に保ちやすい点。
  • 一般顧客向けのロボタクシーサービスで既に有償運行の実績があり、規制当局との対話や地域コミュニティとの調整ノウハウを蓄積している点。
どこで効果が出やすいか/日本での示唆

Waymoのモデルは、タクシー需要が高く、渋滞や駐車スペース不足が課題となっている大都市圏で特に効果が出やすいと考えられます。深夜や早朝など人手を確保しにくい時間帯の移動ニーズをカバーしやすく、既存交通との組み合わせで都市全体の移動体験を底上げできる可能性があります。

日本では、自動運転タクシーの実証が各地で進んでおり、地方部の公共交通維持や観光地での周遊交通など、課題は多い一方でユースケースも明確になりつつあります。Waymoのような大規模資金調達は、ソフトウェア企業だけでなく、車両メーカー、地図・センシング、保険、モビリティサービスなど周辺領域にも連鎖的な投資と提携を促す可能性があり、日本企業としては「どこを補完しにいくか」を早めに整理しておくと動きやすくなります。

B. M&A / Exit

企業/国金額/資金種別・ステージ概要
ST Telemedia Global Data Centres/SG非開示/PE買収ファイナンスデータセンター事業がPEファンド主導の買収対象となり脱炭素投資を加速
Kingspan/IE非開示/M&AインドのEV充電インフラ施工事業者Multiway Infraを買収
Titan Group/GR非開示/M&Aフランスの低炭素セメントターミナル運営会社Vracs de L’Estuaireを買収
Lenzing/AT非開示/M&A木材由来代替繊維を開発するTreeToTextileを完全子会社化
Marico/IN$41m相当/M&A植物性サプリブランドCosmixを買収しインドでのウェルネス事業を拡大
KOKO Networks/KE非開示/事業停止バイオエタノール燃料流通網を運営していたが財務悪化により破綻

C. プロジェクト系

企業/国金額/資金種別・ステージ概要
Aypa Power/US$1,500m/プロジェクトデット米国各地の大型蓄電プロジェクト向けに長期デットを調達
Digital Halo/DK$47m/プロジェクトファイナンスビルの熱需要削減サービス向けポートフォリオ資金調達
Terra Energy/AU$70m/プロジェクトローン豪州の太陽光と蓄電プロジェクト開発資金を確保
Vorn Bioenergy/DE非開示/プロジェクトデットバイオメタン拠点の開発・拡張に向けた長期融

参考文献・出典リンク一覧

一次情報・企業プレス・公的資料

CTVC

CTVC Issue 282(本稿は同号の「Deals of the Week(2026/2/2–2/9)」を起点に、一次情報で裏取りし独自に要約・分析しました。先週号は #281)。

略語集

略語正式名称・説明
VCVenture Capital(ベンチャーキャピタル投資。未上場企業への株式投資)
PEPrivate Equity(未上場企業や事業を対象とするプライベート・エクイティ投資)
PFProject Finance(プロジェクト単位のキャッシュフローを返済原資とするファイナンス手法)

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この記事を書いた人

・ニックネーム:脱炭素メガネ
・所属:国内大手エネルギー企業
・担当領域:新規事業開発(経験10年以上)
・主なテーマ:次世代再エネ、カーボンリムーバル(DAC/DOC/BECCS/CCUS)、グリーン水素(AEM/PEM等)、LDES、次世代原子力(SMR)、核融合 など
・役割:クライメートテック分野の全社的な戦略策定・実行のリード、スタートアップ出資(スカウティング〜評価〜実行)

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