農地と海岸で進む「風化促進」CDR:Enhanced Rock Weatheringの仕組みと主要スタートアップ

農地でトラクターが玄武岩ロックダストを撒き、背景の山と海に向かってCO₂の矢印が伸びる様子と、右側にスタートアップと研究者のシルエットを描いた、風化促進CDR・Enhanced Rock Weatheringのイメージイラスト。

地球の岩石は何千万年もの時間をかけて大気中のCO₂を吸収してきました。Enhanced Weathering(風化促進)は、この自然の「鉱物風化」を人為的に加速し、鉱物や海洋の形でCO₂を長期固定しようとする炭素除去(CDR)技術です。農地や海岸を舞台に、土壌改良や農業生産性向上と組み合わせながら事業化が進みつつあります。

目次

3行サマリー

  • Enhanced Weatheringは、粉砕した岩石を農地や海岸に散布し、自然の風化反応を加速してCO₂を炭酸塩などに固定する炭素除去技術です。
  • 玄武岩やかんらん岩などの珪酸塩鉱物を使う陸上型と、かんらん石を海岸に散布する海洋型があり、数ギガトン/年規模のポテンシャルが議論される一方で不確実性も大きいと評価されています。
  • UNDO・Lithos・Eion・Mati・InPlanet・Vesta・Silicateなどのスタートアップが、農家や自治体と連携しながら実証とMRV手法の確立、クレジット発行を進めています。

1. Enhanced Weatheringとは何か

Enhanced Weathering(風化促進)は、自然界で起きている「鉱物風化」を人工的に加速し、大気中のCO₂を長期的に固定することを狙う技術です。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、岩石を採掘・粉砕し、土壌や海岸などに散布することでCO₂吸収を早める方法として位置づけています。

地球表層での長期的な炭素循環と、ケイ酸塩風化によるCO₂除去の流れを示した模式図
長期カーボンサイクルの模式図。大気中CO₂がケイ酸塩岩の風化を通じて海洋へ運ばれ、炭酸塩として沈積し、プレート沈み込みと火山活動で再び大気へ戻るサイクルが描かれています。
出典:Benjamin J.W. Mills ほか “Long-term carbon cycle” (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0 ライセンス)

CO₂は雨や土壌水分に溶けて弱い酸(炭酸)となり、玄武岩やかんらん岩などの珪酸塩鉱物と反応します。この反応によってカルシウムやマグネシウムが溶け出し、炭酸イオンと結びついて重炭酸塩や炭酸塩として固定されます。これらは地下水や河川、海洋を経て最終的に海底堆積物となり、数千〜数万年スケールで炭素として貯留されます。

Enhanced Weatheringは、この自然プロセスに対して「粉砕」と「散布場所の選定」という人為的なレバーを加えることで反応表面積と反応速度を高め、21世紀スケールで意味のあるCO₂除去量を達成しようとする試みだと整理できます。

2. Enhanced Rock Weathering(ERW)の基本プロセス

特に農地を対象とする場合は「Enhanced Rock Weathering(ERW)」と呼ばれ、既存の農業オペレーションと統合しやすい点が特徴です。典型的なプロセスは次の通りです。

  • 玄武岩やかんらん岩、石灰岩などの岩石を採掘、もしくは砕石・建設由来の副産物として回収する。
  • エネルギーを使って数十〜数百マイクロメートル程度まで粉砕し、反応表面積を増やす。
  • 石灰散布と同様の肥料散布機で、圃場全体に均一に散布する。
  • 雨水・土壌水分がCO₂を含みながら岩石粒子表面で反応し、重炭酸塩・炭酸塩として固定される。
  • 溶けたイオンが地下水〜河川〜沿岸海域に運ばれ、最終的に海洋で長期貯留される。

既存の石灰散布と同じ機械・物流ネットワークを活用できるため、農家にとっての導入ハードルは比較的低くなります。一方で、粉砕や輸送に伴うエネルギー消費も無視できないため、ライフサイクル全体で見た「正味のCO₂除去量(Net Removal)」を丁寧に評価することが重要です。

3. どんな鉱物が使われるのか

3-1. 珪酸塩鉱物(玄武岩・かんらん岩)

現在のERWで主に使われているのは、玄武岩やかんらん岩といった珪酸塩鉱物です。玄武岩はマグネシウムやカルシウムを多く含み、世界各地に豊富に分布しているため、大量調達が比較的しやすい素材とされています。

かんらん岩を主成分とするオリビンは、海洋型Enhanced Weatheringでも注目されています。スタートアップのVestaは、オリビン砂を沿岸部の砂浜に投入し、波のエネルギーで風化を進める「Marine Enhanced Rock Weathering(mERW)」を開発しています。

3-2. 炭酸塩・リサイクル材料(石灰岩・コンクリート)

アイルランド発のSilicateは、石灰岩や戻りコンクリートなど、炭酸塩系の材料を粉砕し、農地に散布するアプローチを採用しています。既存の建設廃材や副産物を活用することで、新規採掘に伴う環境負荷を抑えつつ、土壌pH調整とCO₂固定を同時に狙うモデルです。

3-3. トロピカル・ソイル向けの設計

ブラジルやアフリカの熱帯土壌では、気温と降水量が高く、風化が速く進むことが期待されています。ブラジルを拠点とするInPlanetは、熱帯条件に合わせて岩種や粒径、散布レシピを最適化する研究開発を進めており、熱帯地域ならではの高速な風化を活かした事業モデルを構想しています。

4. CO₂除去量の仕組みとMRVの難しさ

4-1. どのくらいCO₂を除去できるのか

よく紹介される目安として「玄武岩3トンで約1トンのCO₂除去」といった数字がありますが、実際の効率は岩種・粒径・気候・土壌条件によって大きく変わります。米Lithosは、農地に3トンの玄武岩を散布すると最大1トンのCO₂を固定し得ると説明しつつ、土壌モデルと機械学習を用いてロケーションごとの最適散布量を設計しています。

スタートアップのUNDOが参加した温帯気候での試験では、1ヘクタールあたり0.33〜0.53トン/年のCO₂除去が観測され、玄武岩1トンあたり約4kg強のCO₂除去と推計された事例も報告されています。このように、実測データは徐々に増えつつあるものの、地域差が大きい点には注意が必要です。

4-2. 地球規模ポテンシャルと不確実性

世界の農地全体にERWを適用した場合の理論ポテンシャルは、学術論文では年間数ギガトン(2〜4GtCO₂/年程度)の可能性が示されています。一方で、地球化学モデルのパラメータ設定や前提条件によって結果が大きく変わるとの指摘もあり、より保守的に0.2GtCO₂/年程度にとどまるとする研究も存在します。

IPCC第6次評価報告書では、Enhanced WeatheringをBECCS(バイオエネルギー+CCS)やDAC(直接空気回収)などと並ぶ「新しいCDR技術」の一つとして紹介しつつ、現時点での実装規模が非常に小さいこと、技術的・社会的な不確実性が大きいことを踏まえ、評価はまだ暫定的だとしています。

4-3. MRV(計測・報告・検証)のポイント

採掘・粉砕された岩石が農地に散布され、その後の土壌や水の化学分析とモデル計算を通じてCO₂除去量を推計し、クレジットとして発行・検証するまでのMRVプロセスを示したフロー図
enhanced weatheringによるCO₂除去量を測定・報告・検証(MRV)する際の基本的なフローの一例。
岩石の投入量・土壌/水の化学組成変化・モデル計算を組み合わせて、一定の不確実性評価とともにCO₂除去量を推定します。

Enhanced WeatheringのMRV(Measurement, Reporting, Verification:計測・報告・検証)は、他のCDR技術と比べても複雑です。主な難所は次の通りです。

  • 土壌・地下水・河川・沿岸海域など複数の「箱」をまたぐ炭素フローを追跡する必要がある。
  • 土壌有機炭素の変化と、鉱物由来の無機炭素の変化を区別して評価する必要がある。
  • 粉砕・輸送・散布・MRV自体に伴う排出を、ライフサイクル全体で控除する必要がある。

スタートアップ各社は、土壌・水質サンプリング、同位体トレーサー試験、反応−輸送モデル、リモートセンシングなどを組み合わせたMRVスキームを構築中です。Puro.earthやCarbonfutureといったクレジットレジストリも、ERW向けのメソドロジーを整備しつつあり、今後5〜10年でルールがかなり整理されていくと見られます。

5. 農業・環境への副次効果とリスク

5-1. 農地でのメリット

多くのERWプロジェクトは、CO₂除去だけでなく農家にとってのメリットを重視しています。代表的なポイントは次の通りです。

  • 土壌pHの改善(酸性土壌の中和)
  • カリウム・カルシウム・マグネシウムなどの養分供給による作物の生育改善
  • 土壌構造の改善による保水性・耐ストレス性の向上
  • 化学肥料や石灰資材の一部代替によるコスト削減ポテンシャル

インドやアフリカで活動するMati Carbonは、小規模農家の収量が平均で2割程度向上した事例を報告しており、CO₂クレジット収入と合わせて農家の所得向上にもつなげています。このように、気候変動対策と農業開発を同時に進める「二重のベネフィット」が、ERWの重要な魅力になっています。

玄武岩ロックダスト施用区と対照区の春オーツの収量を比較した散布図。施用区の方が高い収量を示している
玄武岩ロックダスト施用区(ERW)と対照区の春オーツ収量の比較。
イギリス北東部の農場試験で、直まき・耕起の両方において平均9〜21%の収量増が報告されています。
出典:Skov et al. (2024) “Initial agronomic benefits of enhanced weathering using basalt: A study of spring oat in a temperate climate”, PLOS ONE, CC BY 4.0 ライセンス

5-2. 環境リスク・社会受容性

一方で、環境影響への懸念も無視できません。議論されている主な論点は次の通りです。

  • 超苦鉄質岩(オリビンなど)に含まれるニッケル・クロムといった重金属の溶出リスク
  • 粉砕工程での粉じん・騒音、トラック輸送による地域の交通・大気負荷
  • 新規採掘が拡大した場合の生態系や景観への影響
  • 沿岸でのmERWが海洋生態系や水質に与える影響

Vestaなどの海洋型プロジェクトは、フィールド試験で水質や底生生物への影響を細かくモニタリングし、規制当局や地域コミュニティと対話しながら「許容できる運用条件」を探っています。Enhanced Weatheringの社会受容性を高めるには、こうしたデータに基づいたリスク管理と、透明性の高い情報開示が不可欠です。

6. コストとビジネスモデル

6-1. コストレンジ

コストについてはまだ幅がありますが、複数の分析を総合すると、現時点のEnhanced Weatheringの除去コストは1トンあたり200〜300ドル程度と見積もられます。スタートアップのUNDOは、英国メディアの取材に対して1トンあたり約225ポンドで販売し、数年内に90ポンド未満への低減を目標としていると説明しています。

粉砕のエネルギー効率、輸送距離、散布方法、MRVのやり方によってコスト構造は大きく変わりますが、現状ではDACなどの工学的CDRよりやや安く、バイオ炭など自然由来CDRより高い「中間ゾーン」に位置していると整理できます。

6-2. 収益モデル

多くのERWスタートアップは、炭素除去クレジットと農業サービスの組み合わせで収益化を図っています。主な柱は次のように整理できます。

  • 企業向けCDRクレジット販売(Frontier、Microsoft、JPMorganなどとのオフテイク契約)
  • 農家への土壌pH調整・肥料代替サービス(石灰や一部肥料の代わりに岩石粉を提供)
  • 土壌モデル・モニタリングツールなどソフトウェアの提供(Lithos型のSaaSモデル)

CDRクレジットが高価格帯を維持できるうちは、農家側のコスト負担を抑えつつ事業を回せることがビジネスモデルの前提になっています。逆に、クレジット価格が大きく下落する場合には、農業側のメリットだけでビジネスが成立するかどうかが改めて問われることになります。

7. 代表的なスタートアップ・プロジェクト

ここでは、Enhanced Weathering領域で存在感を高めているスタートアップを、陸上型と海洋型に分けて紹介します。

7-1. 陸上型ERW(農地)

UNDO(英国)

UNDOは、玄武岩などの岩石粉を英国および北米の農地や森林地帯に散布するプロジェクト開発者です。「1億トン以上のCO₂を長期除去する」という長期目標を掲げ、Microsoftなど大手企業とのクレジット供給契約も公表しています。森林施業と組み合わせたプロジェクトも進めており、土地利用との統合を重視するプレーヤーです。

Lithos Carbon(米国)

Lithosは、米国のトウモロコシ・大豆農家を主な対象に、玄武岩粉の散布を展開しています。土壌データと機械学習を組み合わせて「収量とCO₂除去量を同時に最大化する」散布設計を行うことを特徴とし、2025年にはEnhanced Weatheringとして世界最大級となる数千トン規模のレジストリ認証クレジットを発行したと報告しています。

Eion(米国)

Eionは、オリビンをベースとする岩石粉を米国中西部・南部の農地に提供するスタートアップです。石灰資材より安価で高機能なpH調整剤として農家に使ってもらいながら、そのCO₂除去効果をクレジットとして販売します。CDR連合のFrontierからは約7.9万トンのCO₂除去に相当するオフテイク契約を獲得しており、資本市場からの期待も高い企業です。

Mati Carbon(米国/インド・アフリカ)

Mati Carbonは、インドやタンザニア、ザンビアなどで、小規模農家と連携したERWプロジェクトを展開しています。玄武岩粉を無償もしくは低コストで散布し、収量向上とCO₂クレジット収入を組み合わせて農家の所得向上につなげる「Farmer First」モデルを掲げています。2025年にはXPRIZE Carbon Removalでグランプリを受賞しており、途上国の農業開発とCDRを結びつける代表的な事例になっています。

InPlanet(ブラジル/ドイツ)

InPlanetは、ブラジルなど熱帯地域に特化したERW企業です。高温多雨の気候条件を活かして風化速度を高めつつ、酸性化が進んだ熱帯土壌の再生と化学肥料依存の低減を狙っています。欧州の気候テック投資家からも資金を集めており、「トロピカルERW」の旗手として注目されています。

Silicate(アイルランド)

Silicateは、石灰岩や戻りコンクリートといった炭酸塩系材料を活用するERWのパイオニアです。アイルランドや米国の農地で実証を進めており、XPRIZE Carbon Removalのファイナリストにも選出されました。建設業の廃材問題とCDRを同時に扱える点で、サーキュラーエコノミーの文脈からも関心を集めています。

7-2. 海洋型Enhanced Weathering

Vesta(米国)

Vestaは、かんらん石由来のオリビン砂を沿岸域の砂浜に投入する海洋型Enhanced Weatheringに取り組むスタートアップです。米ニューヨーク州Peconic Bayなどで、砂浜養浜(ビーチの補強)と組み合わせたフィールド試験を実施し、水質や生態系への影響をモニタリングしながらCO₂除去ポテンシャルを評価しています。海岸侵食対策とCDRを一体化できる可能性があり、沿岸自治体との連携がカギになっています。

8. 政策・標準化の動き

IPCCや各国政府は、Enhanced WeatheringをBECCSやDACなどと並ぶ「Negative Emission Technologies(NETs)」の一つとして位置づけつつ、技術的・社会的な不確実性の大きさも強調しています。特に、CO₂除去量の定量化や環境影響の評価、社会的受容性など、多くの論点がまだ議論途上です。

クレジット市場では、Puro.earthやCarbonfutureなどがERW向けメソドロジーを公表し、Frontierや大企業バイヤーが一定の品質基準に沿ったオフテイク契約を結び始めています。会計基準や企業のネットゼロ向けガイドラインでも、長期貯留型CDRへの期待が高まる中で、Enhanced Weatheringをどの程度「信頼できる除去」とみなすかが、今後の重要なテーマになります。

現時点のコンセンサスは、「有望だがまだ検証段階の技術であり、過度に楽観的な前提で排出削減目標に組み込むべきではない」という慎重なスタンスです。そのうえで、実証の積み重ねや標準化議論への参加が強く求められています。

9. 他のCDRとの比較で見た位置づけ

Enhanced Weatheringは、他の主要なCDR技術と比べると、次のような位置づけになります。

  • BECCS(バイオエネルギー+CCS):大規模なエネルギーインフラとCO₂輸送・貯留サイトが必要で、土地利用競合の懸念もある。
  • DAC(直接空気回収):立地の自由度は高いものの、エネルギー消費とコストが現時点では非常に高い。
  • バイオ炭:バイオマス残渣を活用し、土壌改良効果も大きいが、供給可能なバイオマス量と焼成設備が制約要因になる。

これに対してEnhanced Weatheringは、既存の農業や沿岸インフラと統合しやすく、潜在的なスケールも大きいと見込まれています。ただし、MRVや環境影響、新規採掘の扱いなど、制度面での調整が多く残っており、「中長期的に重要になる可能性は高いが、今は検証とルールづくりのフェーズ」と評価するのが現実的です。

10. 日本企業・投資家が見るべき論点

日本の事業会社や投資家の立場から見ると、Enhanced Weatheringには次のような論点があります。

  • ローカルな鉱物資源と物流:日本には火山性の玄武岩資源が存在しますが、採掘規制や環境アセスメントとのバランスが課題です。砕石・アスファルト用石材の副産物を活用するなど、「追加採掘を抑えた設計」が重要になります。
  • 農業との統合と受容性:日本の農地は小規模・分散型で、高齢化や担い手不足も進んでいます。国内だけで大規模なERWを展開するより、北海道など一部地域と、海外農地プロジェクトへの金融・技術支援を組み合わせる発想も現実的です。
  • CDRポートフォリオの一部としての位置づけ:企業のネットゼロ戦略では、森林吸収や再エネだけでなく、長期貯留型CDRへの投資も求められつつあります。Enhanced WeatheringはDACより低コストで、「中長期のオプション」としてポートフォリオに組み込みやすい領域といえます。
  • MRV・標準化への参画:地球化学・土壌・海洋の研究基盤がある日本の大学・研究機関は、MRV手法や標準化の国際議論に貢献しやすい立場にあります。ここに早期から関わることで、将来のクレジット品質や会計処理のルール形成に影響を与えられる可能性があります。

11. 筆者の視点

筆者は、Enhanced Weatheringを「短期は実証とルールづくりの段階、中期以降にCDRポートフォリオの一角として存在感を高めうる技術」として評価します。短期的には、除去量の不確実性や環境影響の精査が必要であり、高価なCDRクレジットを正当化できるだけのエビデンス構築が欠かせません。IPCCや各種レビューでも、NETs全体の「現実的ポテンシャル」が過大評価されないよう注意喚起が続いており、その中の一つとしてEnhanced Weatheringも慎重に扱われています。

中期的には、DACなど他のCDRのコスト低減と並行して、Enhanced Weatheringが「農業・沿岸インフラと一体化したCDR」として、農業生産性向上や地域適応とセットで評価される方向に進む可能性があります。MatiやInPlanetのように、途上国の小規模農家を支援しつつギガトン規模のCO₂除去を目指すモデルは、日本企業のサプライチェーンや開発金融とも相性が良い領域です。

「石をまくだけでCO₂が消える」という単純な物語ではなく、科学・農業・鉱業・物流・規制が絡む複合プロジェクトとして、慎重かつ前向きに検証を積み上げていくことが重要だと整理できます。日本企業や投資家は、単発のクレジット購入だけでなく、研究開発・実証・国際スタンダードづくりへの参画も視野に入れながら、この領域との関わり方を検討していくタイミングに来ていると言えます。

参考リンク集

Enhanced Weathering(Enhanced Rock Weathering, ERW)や関連スタートアップに関する一次情報・レビュー論文・政策文書など、本文作成時に参考にした主な資料です。

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この記事を書いた人

・ニックネーム:脱炭素メガネ
・所属:国内大手エネルギー企業
・担当領域:新規事業開発(経験10年以上)
・主なテーマ:次世代再エネ、カーボンリムーバル(DAC/DOC/BECCS/CCUS)、グリーン水素(AEM/PEM等)、LDES、次世代原子力(SMR)、核融合 など
・役割:クライメートテック分野の全社的な戦略策定・実行のリード、スタートアップ出資(スカウティング〜評価〜実行)

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