環境省「脱炭素アドバイザー」認定に アスエネのGX・ESG動画学習検定

企業のGX人材育成を「環境省認定資格」で見える化する動きが進んでいます。アスエネのオンライン検定が「脱炭素アドバイザー ベーシック」に加わり、社内研修でも使いやすい公的資格として位置づけられました。

目次

3行サマリー

  • アスエネの「脱炭素コースベーシック検定」が、環境省の「脱炭素アドバイザー ベーシック」認定資格として登録され、企業のGX基礎研修に使える公的資格になりました。
  • GX・ESG動画学習サービス「ASUENE ACADEMY(アスエネアカデミー)」は約900社・1.5万人が受講し、オンライン(IBT)とテストセンター(CBT)の両方式で受験できます。
  • 東京都内中小企業1,000社への無償提供枠(〜2026年3月末)を通じて、GX2040ビジョンに沿う「脱炭素の共通基礎知識」を中小企業にも広げる仕組みが整いつつあります。

環境省「脱炭素アドバイザー」制度の概要

環境省は2023年に「脱炭素アドバイザー資格制度認定ガイドライン」を策定し、企業の脱炭素を専門的に支援できる人材を育成するため、民間資格を認定する仕組みを整えました。2025年11月28日付の発表では、5つの資格制度が新たに「脱炭素アドバイザー ベーシック」として認定されています。

脱炭素アドバイザー ベーシック・アドバンス・シニアの3レベル構造をピラミッド型で示した図
脱炭素アドバイザー資格の3つのレベル構造(ベーシック/アドバンス/シニア)。
ベーシックは「企業の基礎的な脱炭素対話ができる人材」を想定している
(出典:環境省「脱炭素アドバイザー資格制度」資料)

「脱炭素アドバイザー ベーシック」は、企業内外で脱炭素業務を担う担当者が、気候変動の背景、温室効果ガス排出量の算定、削減目標の考え方、開示の初歩を理解していることを示す入門レベルの資格です。特に中小企業では専門部署がないケースが多く、基礎的な脱炭素知識を持つ人材を増やすことが制度の狙いとされています。

環境省の公表資料では、「アスエネアカデミー 脱炭素コース・ベーシック検定」を含む5資格が一覧掲載されており、認定日は2025年12月1日、有効期間は2年間とされています。これにより、企業は「環境省認定の脱炭素アドバイザー ベーシック資格」として、複数の民間検定を横並びで比較できるようになりました。

アスエネのGX・ESG動画学習サービスと検定の特徴

アスエネは、CO₂排出量の見える化クラウド「ASUENE」などを提供するスタートアップで、企業向けのGX・ESG教育に特化したeラーニングサービス「ASUENE ACADEMY(アスエネアカデミー)」を運営しています。GXはグリーン・トランスフォーメーション(Green Transformation、GX)、ESGは環境・社会・ガバナンス(Environment, Social, Governance)の略です。

「脱炭素コースベーシック検定」は、このアカデミー内のプログラムとして設計されており、脱炭素経営の基礎を体系的に学べる構成です。検定内容は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の評価報告書の主執筆者である東京大学・江守正多教授が監修し、気象キャスターとして知られる千種ゆり子氏が作成しました。科学的な知見を土台としたカリキュラムである点が大きな特徴です。

試験方式は、インターネット経由で受験するIBT(Internet Based Testing)方式に加えて、新たに全国のテストセンターで受験できるCBT(Computer Based Testing)方式にも対応しました。これにより、在宅勤務の従業員も、オフィス近くのテストセンターを利用する従業員も、どちらも受験しやすい環境が整っています。

ASUENE ACADEMY全体では、約900社・1.5万人の学習機会を提供した実績があり、サプライヤー企業の従業員も含めた学習モデルを取っていることが特徴です。金融機関や再生可能エネルギー関連企業などが、営業・企画・調達部門も含めた社内研修に活用しており、サプライチェーン全体のGXリテラシーを底上げするツールとして機能し始めています。

東京都内中小企業1,000社への無償提供とGX2040ビジョン

今回の認定とあわせて、アスエネは東京都内の中小企業1,000社を対象に、ASUENE ACADEMYの無償提供枠を用意しています。期間は2026年3月末までで、都内の中小企業であれば、社内のサステナビリティ教育の一環として動画学習コンテンツを無償で利用できます(検定そのものは無償対象外)。

東京都とアスエネは、2025年7月に中小企業向け脱炭素支援事業を開始しており、その中でASUENE ACADEMYの無償提供が位置づけられています。Scope1〜3(事業活動とサプライチェーン全体)のCO₂排出量見える化支援とセットで、人材育成を行う構成です。これにより、予算・人員に制約がある中小企業でも、基礎的な脱炭素教育を一気に進めやすくなります。

政府の「GX2040ビジョン」では、エネルギー転換だけでなく製造業や都市インフラを含めた構造転換を進める方針が示されています。こうした流れの中で、中小企業が大企業や金融機関と同じ「脱炭素の共通言語」を持つことは、サプライチェーンでの取引継続や新規ビジネスの前提条件になりつつあります。

他の認定資格との棲み分けと人材要件への影響

環境省の認定一覧では、アスエネアカデミーのほかに、「GX エキスパート検定3級」(一般社団法人Green Innovation)、「グリーンマイスター検定」(一般社団法人全日本教育研究会)、「脱炭素支援アドバイザー検定」(パデセア)、「脱炭素ベーシック検定」(enechain)などが、同じ「脱炭素アドバイザー ベーシック」として並んでいます。

各資格は、想定する受験者層や学習スタイルが異なります。GX全般を広く押さえる検定もあれば、電力取引や排出量マーケットに強みを持つ検定もあります。一方でアスエネアカデミーの検定は、CO₂排出量見える化クラウドやサプライチェーンマネジメントと同じグループが運営しており、排出量算定や移行計画づくりといった実務との連動性が高い構成です。

企業側から見ると、今後は人材要件の書き方が変わる可能性があります。例えば採用条件や研修要件に「環境省認定 脱炭素アドバイザー ベーシック相当の資格取得を推奨」といった表現を使えば、特定の民間資格名を一つだけ指定する必要がありません。複数の認定資格を候補としつつ、自社の業種や業務内容に合った検定を選ぶ設計がしやすくなります。

また、金融機関やコンサルティング会社、監査法人などでは、クライアントに脱炭素の助言を行うフロント人材に対して、この種の資格を「最低限の共通基礎」として位置づける動きが出てくる可能性があります。その場合、GX人材サービスや教育SaaSと資格制度を組み合わせた人材ビジネスも立ち上がりやすくなります。

筆者の視点

実務面では、まず「環境省認定」と「約900社・1.5万人」という実績の組み合わせに注目します。自治体との連携による1,000社向け無償枠も含めて考えると、ASUENE ACADEMYと脱炭素コースベーシック検定は、企業のGX基礎研修における有力な候補の一つとして一気に存在感を増す条件がそろっています。

次に、人材要件設計への影響です。これまでは「サステナビリティ関連の資格歓迎」といった抽象的な書き方が多く見られましたが、今後は「環境省の脱炭素アドバイザー ベーシック認定資格のいずれか取得」といった具体的な表記に変えていく企業も出てきそうです。その場合、アスエネの検定は、クラウドサービスやコンサルティングと組み合わせて導入しやすい選択肢として評価される余地があります。

さらに、アスエネグループがGX・ESG人材特化型の転職プラットフォーム「ASUENE CAREER」も展開している点は、中長期的に重要だと感じます。資格取得者のデータや学習履歴と、転職・副業市場をどのように連携させるかによって、GX人材マーケット全体の「見える化」が進む可能性があります。

企業サイドにとっては、早い段階で「自社のGX人材要件に、どのレベルの脱炭素アドバイザー資格を組み込むか」を決めておくことがポイントになります。社内研修のカリキュラム設計、人事評価への反映、金融機関や顧客への説明材料として、環境省認定資格をどのように活用するかが、今後のGX人材戦略の一つの分かれ目になりそうです。

参考リンク集

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この記事を書いた人

・ニックネーム:脱炭素メガネ
・所属:国内大手エネルギー企業
・担当領域:新規事業開発(経験10年以上)
・主なテーマ:次世代再エネ、カーボンリムーバル(DAC/DOC/BECCS/CCUS)、グリーン水素(AEM/PEM等)、LDES、次世代原子力(SMR)、核融合 など
・役割:クライメートテック分野の全社的な戦略策定・実行のリード、スタートアップ出資(スカウティング〜評価〜実行)

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