グリッド最適化に資金が集まる週 Kraken $1.0B、AlphabetがIntersect買収合意|クライメートテック資金調達 #019

グリッド最適化を象徴する送電網とデータの流れのイラスト。中央に「グリッド最適化に資金が集まる週 Kraken $1.0B、AlphabetがIntersect買収合意 クライメートテック資金調達 #019」

今週は、〔スタートアップ資金調達〕に$1000.0m、〔M&A / Exit〕に$4750.0m、〔プロジェクト・デット〕に$0.0mが集まりました(合計$5750.0m、非開示は集計外)。

目次

3行サマリー

スタートアップ資金調達動向:
Octopus Energy Group発のユーティリティ向けOSを提供するKrakenが、スピンアウトと同時に$1.0bnのエクイティ資金を確保しました。稼働実績(ユーティリティの契約アカウント7,000万超)を背景に、電力需要増と系統制約の局面で「運用ソフトウェア」への資金集中が続いています。

プロジェクト資金調達動向:
当週の「Deals of the Week」ではプロジェクトファイナンス(PF)等の開示はありませんでした。代わりに、データセンター需要を見据えた電源・インフラ確保の垂直統合が、M&Aの形で前面に出ています。

政策動向:
米エネルギー省(DOE)は、連邦電力法202(c)に基づく緊急命令でコロラド州Craig Stationの石炭火力1号機の運転継続(稼働可能状態の維持)を2026年3月30日まで指示し、電力需給逼迫と供給力不足への対応を優先しました。

今週の資金調達動向

サマリー(USD概算)

グループ件数開示額合計主な資金種別代表案件
スタートアップ/コーポレート(エクイティ/研究助成等)1$1000.0mエクイティ(成長投資)Kraken:スピンアウトに伴う$1.0bn投資
M&A / Exit1$4750.0m買収(現金+債務引受)Google(Alphabet):Intersect買収(約$4.75bn)
プロジェクト系(PF/デット/資産売買)0$0.0m該当なし該当なし

— 注:合計は概算・非開示を除く。為替目安:£→$1.33、A$→$0.68、€→$1.10、C$→$0.74、¥→$0.0067(端数は$0.1m未満切り捨て)。通貨併記は一次発表に準拠。

A. スタートアップ / コーポレート

企業/国金額/ステージ概要主な投資家
Kraken/GB$1000.0m/Growthユーティリティ向けAI運用OSのスピンアウト資金D1 Capital Partners, Durable Capital Partners, Fidelity International, Ontario Teachers’ Pension Plan Board, Octopus Energy Group

Kraken — 特集

https://kraken.tech/press-releases/octopus-energy-group-to-spin-out-kraken-at-valuation-of-8-65bn
会社の概要

Krakenは、Octopus Energy Groupの中で育ったユーティリティ向けソフトウェア事業を母体に、独立会社としての運営に移行する計画を公表しました。今回のラウンドでは、世界的投資家がKrakenの株式を約$1.0bn取得し、スピンアウトと成長投資を同時に進めています(公表ベースの評価額は$8.65bn)。

何ができるのか

同社は、電力・ガスなどユーティリティ企業向けに、料金計算、請求、顧客管理、オペレーション自動化、系統関連サービスなどを一体で支える「運用の基幹OS」を提供します。ライセンス契約で世界のユーティリティに展開し、契約アカウントは7,000万超とされています。

技術のしくみ

中核は、データ統合・自動化・AIを前提に設計されたソフトウェア基盤で、発電から配電、小売までの業務データと運用フローを一つのプラットフォームで扱えるようにする考え方です。日次で150億規模の新規データポイントを処理するとされ、継続的なソフトウェア更新と移行(既存システムからの切替)を重視した運用モデルを掲げています。

料金・導入の進め方

一次情報では料金の定価表は示されておらず、導入はユーティリティ各社とのライセンス契約とシステム移行プロジェクトを組み合わせる形が中心です。今回のスピンアウトは「中立的なグローバルOS」としての独立運営を明確にし、ユーティリティ側がベンダーロックイン懸念を抑えつつ採用しやすくする狙いがあります。

他社との違い
  • 大規模な稼働実績を前面に出し、契約アカウント7,000万超・処理データ150億/日といった運用スケールを提示
  • Octopusからのスピンアウトにより、特定小売の内製システムではなく「ユーティリティ共通基盤」としての中立性を強調
  • 移行の速さと継続リリースを価値の中心に置き、運用効率や顧客満足の改善を成果指標として掲げる設計
どこで効果が出やすいか/日本での示唆

電力需要増(データセンター・電化)と分散化(再エネ・蓄電池・需要家側リソース)が同時進行する局面では、発電・系統・小売の「運用」を横断して最適化できるソフトウェアが効果を発揮しやすくなります。日本との関連は一次情報で確認でき、Krakenの顧客例として東京ガスが挙げられている点は、国内ユーティリティでも運用OS型アプローチが現実解として採用され得ることを示唆します。

B. M&A / Exit

企業/国金額/資金種別・ステージ概要
Intersect/US$4750.0m/買収Googleがデータセンター電源とインフラ開発を加速するため買収合意 現金と債務引受を含む

C. プロジェクト系

企業/国金額/資金種別・ステージ概要
該当なし当週のDeals of the Weekで開示案件なし

参考文献・出典リンク一覧

一次情報・企業プレス・公的資料

CTVC

CTVC Issue 277(本稿は同号の「Deals of the Week(2025/12/29–2026/1/4)」を起点に、一次情報で裏取りし独自に要約・分析しました。先週号は #276)。

略語集

略語正式名称・説明
AIArtificial Intelligence 人工知能
OSOperating System 業務運用の基幹ソフトウェア基盤
M&AMergers and Acquisitions 企業の合併・買収
DOEU.S. Department of Energy 米国エネルギー省

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この記事を書いた人

・ニックネーム:脱炭素メガネ
・所属:国内大手エネルギー企業
・担当領域:新規事業開発(経験10年以上)
・主なテーマ:次世代再エネ、カーボンリムーバル(DAC/DOC/BECCS/CCUS)、グリーン水素(AEM/PEM等)、LDES、次世代原子力(SMR)、核融合 など
・役割:クライメートテック分野の全社的な戦略策定・実行のリード、スタートアップ出資(スカウティング〜評価〜実行)

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